このブログヘのアクセスありがとうございました。
この記事はグラフィックデザイナーで姓名判断研究家のネコヒートが書いています。
今回は「名前の世界」の時間です。
名前を研究している立場からすると、ちょっと驚きの名前がニュースに登場しました。
“《相模原17歳死亡》「顔をバンダナで隠し…バイクをブンブンふかしていた」通夜会場付近に現れたバイク集団、心臓が弱かった被害者…友人らは「なぜ早く犯人を捕まえてくれないのか」”
※参照元のニュース記事は、時間の経過とともにリンク切れになる場合があります。ご了承ください。
というニュースが9月3日(木)に「集英社オンライン」で報じられました。
ニュース内容は、神奈川県相模原市の農道で、高校二年生の少年が何者かに暴行を受け亡くなったことを知らせるものなのですが、このニュースに登場した少年の「名前」が、すごかった。
刹那
これが彼の名前なんです。
初めて見たときに、軽い目眩がしましたね。
だって、「刹」って、あの、不穏な漢字に似ていませんか???
具体的に名前を見ていただくため、姓名判断チャートを掲載です。
名前考察
※記事にアクセスすれば名前はすぐにわかりますがプライバシーに配慮し一部伏字にしています。

名前は、○○刹那くん。
そもそも名前の点数は良くないし、三才配置が悪いことも事件・事故に遭う人に多いパターンではありますが、画数や三才配置の話はいったん置いておいて、今回気になったのは、「刹那」の方。
この「刹」という漢字、見た目が「殺す」という漢字に似ておりませんか?
殺 刹
さすがに「縁起が悪すぎないか?」と思ったものです。そして、わざわざよくこんな漢字を名前に付けたな、と。
というのも漢字は、「文字の形」に必ず意味を持ちます。つまり、この2つの漢字には同じ意味が込められているはずなのです……。
「刹那」の意味と字源をご紹介しましょう。
「刹那」意味と字源
意味
仏教用語に由来する言葉で、「極めて短い時間」や「一瞬」を意味する言葉です。
元々は古代インドのサンスクリット語「クシャナ(kṣaṇa)」を漢字に音訳したもので、仏典では「指を1回弾く間に65刹那ある」とされるなど、人知では捉えきれないほどわずかな時間を指します。

現代では「刹那的な生き方(今この瞬間だけを重視する生き方)」や「刹那の出来事」といった文脈で使われます。
字源
字源は白川静先生の著書「字統」を参考にしました。
まずは、「殺」という漢字から。
左偏の「メ」の下に「木」を加えた形は、「㣇」をなす獣の姿です。 その獣に「殳(杖のように長い戈)」を加え殴って殺す形を表し、これにより祟りを削ぎ、無効とすることを「殺」というのが元々の意味になるらしい。
殺 = 㣇(祟り、獣)+殳(殴って殺す)
となると、刹も同様です。
左偏の「メ」の下に「木」を加えた形は、「㣇」をなす獣の姿であって、右側の「刂(りっとう)」は刀を表すわけで、ほぼ「殺」と同義である、と白川静先生の著書にも書いてありました。

つまり、刹は「殺」と同じような意味があるというわけなのです。
刹那くん = 殺くん
字源がわかると、ちょっとどころか、相当縁起が悪くないですかね?
ちなみに、「那」の方は、刹那という言葉自体が、「クシャナ(kṣaṇa)」の音訳ということもあり、「ナ」部分に当てられた発音用の漢字にすぎません。
あえてフォローしてみる
あえて、この縁起でもない名前をフォローするなら、以下の点が考えられます。
1. 「意味(字源)」よりも「響き(音)」や「デザイン」の優先
現代の名付けでは、字源や伝統的な吉凶よりも、「せつな」という音の響きの格好よさや、漢字を見たときのスタイリッシュな印象を優先して選ばれるケースが増えているから仕方がない。
2. ポジティブな意味への再解釈
「一瞬を大切に」「今この時を全力で生きてほしい」という、親なりの前向きな願いやロマンを「刹那」という言葉に込めて命名するケースもある。
字源の「殺」や「刃物」といった背景を知らず、単に「儚く美しい一瞬」というイメージで捉えている可能性があり仕方がない。
3. 価値観の違い
縁起や伝統を重んじる人もいれば、「自分たちが良いと思った響きや意味が一番」と考える親もいるのだから仕方がない。
以上3点を挙げました。
たしかにそういう現代風な考えもあるでしょうから、一概にどうのこうの言えないところもありますが、最後に、ネコヒート姓名判断の見解を示しておきましょう。
結論
名付けの専門家や伝統的な考え方においては、「刃物・切断・消滅」を連想させる文字は「怪我や事故、不運を呼び込みやすい」として、明確に忌み字(いみじ)や注意が必要な字として分類されます。
よって、刹那という言葉における「刹」という漢字は、名付けにふさわしくはありません。
刹 = 使ってはダメ!
自分の大切な存在に対し、「なんでもかんでも気分や雰囲気、感覚で名付ければ良いというものではない」というのが当ブログの見解になります。
そんな縁起でも無い漢字を名前に付け、実際に事故や事件に巻き込まれ亡くなったら、名付けた張本人も、嫌な気分を引きずったままずっと生きていくことになるのですから。
縁起でもない漢字 = 後悔のもと
無知は怖い……そして、危険。漢字の国に住む日本人ならば、もっと漢字の意味や字源に敏感になるべきで、名付けにおける漢字選びは、くれぐれも慎重に行なってほしいものです。
これから誰かの命名を考えている人はぜひご参考ください。
〈終〉
◼️合わせてご覧ください…
自分の息子に「悪魔」と名付けた男の話を記事にしたことがあります。ご興味のある人はこちらの記事もどうぞ。



